今日から8月
2017/01/29
あのときネットがどう動いていたか
今日から8月です。
洋服屋にはそろそろ秋物が並び始めたりします。それにしても2011年がもう7ヶ月も経ったなんて全く実感がありません。3.11以降バタバタ ドキドキしているうちに気づいたら…という感じです。
ところで皆さん、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」というソーシャルネットワークボランティアをご存知でしょうか?
…話はちょっと遡ります。
(忘備録兼ねますのでちょっと長めです。洋服は関係ないので興味のない方はとばしてください )
3.11当日のことですが、店でインターネットの情報を拾い集めていた時にUstream放送でNHKニュースが流れているのを見つけました。
(USTREAMユーストリームとは何ぞや?という方は⇒こちらをどうぞ )
しかしオフィシャルのものではなく誰かが自宅のテレビ画面を撮影しています。子どもの声でした。カメラはテレビに向けたままなので、音声だけの本人の説明によりますと、彼は広島在住 (←私の記憶が確かなら) の中学生で、自前のiPhoneでNHKのテレビ画面を撮影しているとのことでした。テレビ画面を動画撮影してUstream上で流すことが違法であることは承知の上でやっていて、「後で処分でも逮捕でもしっかり受けるから今はこれを流し続ける」と発言。
これが違法動画であることはNHKにも伝わりますが、緊急事態である事を局側が考慮してお咎めなしの事後承認となります。シャットアウトされてしまうかもしれなかったこのあたりのやり取りは、流れている映像の凄まじさもあって、動画のコメント欄も 「固唾を飲んで見守る」 といった状況でした。(継続させたNHK とUstream 運営者へは拍手喝采でした)
情報感謝! RT @tamachangg: @NHK_PR は ustでNHKが見られることをツイートしたらどうなの? ここだよ→ http://t.co/XaympNk @NHK_PR: 停電でテレビがご覧になれない方も多くいらっしゃいます。津波情報を出来るだけ拡散して下さい。
— NHK広報局 (@NHK_PR) 2011年3月11日
NHKの英断
その事後承認よりも前に、NHKのオフィシャルツイッターアカウントのひとつが、「私の独断ですので、後で責任は取るつもり」と前置きしてその少年のUSTREAM動画のURLをリツイート(拡散)しました。このアカウントは、普段は公共放送にあるまじきユルユルさで有名なのですが、オフィシャルが違法を奨励するという非常時の英断ともいうべきアクションにツイッターは沸き立ちました。(のちにこの “中の人” は、自分が阪神淡路大震災の被災者だったことを告白し、そしてまたユルユルなアカウントに戻っていきました)
ネット環境が活きていた多くの人たちが中学生のUstream放送に気が付き、視聴者数はうなぎ上りで増えていきました。すると今度は、アクセス過多で動画がダウンしないようにミラー動画を作って視聴者を分散させる人が現れました。それまで音楽ライブを見ることでしかUstreamを利用していなかった私には、こういった災害時での活用のされ方は全く想像できませんでした。しかもオンライン上で集まった人たちの手によって、より多くの人に届くよう優しくアレンジされて。
Googleは有志のエンジニアで 「Person Finder」というサイトを立ち上げました。電話やメールでの連絡が困難な状況の天災時に、行方不明者と探している人たちのマッチングを行うサイトです。避難場所の壁や掲示板に貼られた
「○○(名前)は××(地名)に避難しています 」
「△△(名前)へ、家族全員××へ避難しています 」
というメモや、その地区の中で安否が確認できていない住民のリストが貼られています。それを現地の人が写真に撮ってサイトにアップします。しかしそのメモやリストは直筆のクセがあったりピントがぼやけていたり字の大きさもまちまち。そこにサイトに入った一般有志が写真の字を読んでサイト上のデータにタイピングします。
例えば、
写真アップ
↓
有志その1 「やります」
(間髪入れず)有志その2 「やります」
↓
有志その2 「1さんお任せします」
(その2さんは違う写真の判別にすぐ回ります )
↓
有志その1 「できました。一部判別不明です」
↓
有志その3 「読めました。◯○さんと書いてあります。修正しました」
有志その4 「△△(地名)にいると書いてありますね。直しました」
↓
(数回リピート)
↓
↓
リストコンプリート
そのタイピングされたリスト(100%判別できていないものもたくさんあります)は数百枚に及びます。サイト上での一発検索にヒットしないのはその名前がないか、もしくは写真からうまく読み取れずにデータ化できなかったという可能性もありますので、結局その数百枚分の名簿に目を通さずにはいられません。
当時、ツイッターのTL上には連絡の取れない人たちを探すツイートがあふれ返っていました。そんな人にPerson Finderの存在を伝えて、手が空いているときには目を通す手伝いをしました。私たちは知人ではなく、実際に会ったこともありません。
共通しているのは震災下の国に住んでいるということだけでした。
このPerson Finderは9.11での経験を経て、2010年ハイチでの災害のときに導入されました。その時は構築に72時間かかったといわれたサイトが、今回の東日本大震災ではわずか1時間で立ち上がりました。
と、8月1日が終わってタイトルに合わなくなってしまうので今日はここまでにします。本題にもたどり着けませんでした。続きはまた明日に。