Matthews' Issue

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ウエアハウス代官山店その2

      2018/03/29

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とにかくやるしかない

私の予想に反し、周りの期待も大きく外したベタ凪出航のウエアハウス代官山店。西の彼方で轟いている雷鳴に聞こえていない振りをするワケにもいかず、幾度となく雷を浴びる羽目になりましたが、身から出たサビ以外の何物でもなく、結果で返すしかないのでした。

「フレームレスのメガネ。松下より背が高い」
「□月×日、○○のネイビーのSサイズ購入。ボーダーものが好き」
「○○の仕事をしている。彼女と一緒に来店」
「△△(雑誌)を見て来店。部活やっていてモモの太さが目立たない服が欲しい」

などなど、「お知らせハガキを送りますのでよかったら」と新しく来てくれたお客さんに書いてもらったプロフィールペーパーに、接客の記憶が鮮明なうちに余白に色々書きこんでいました。

名前や何を買ってもらったか思い出せないとき、急ぎの事務仕事を片付けるフリをして記憶をたどってカウンターの下で住所録を繰っていました。実際にハガキを送る時には、少しでも温度が伝わるように直筆でひと言添えていました(最初の頃は宛名も全て手書きでマジで腕攣ってました)。

前へ!前へ!

徐々に厚くなっていく顧客名簿と、読めば思い出せるお客さんの顔や会話の内容。接客業のスタッフがやるべき方向としては間違っていないと手応えを感じていました。しかし、焦りや汚名返上の気持ちでほとんど前しか見ていない私に付いてくる本田くんは本当に大変だったと思います。

他の店舗に倣うと2人体制で運営すべき10坪弱の代官山店ですが、3人でと本社に頼んだのは、誰を選ぶにしても年上でキャリアも及ばない私と二人っきりは相当しんどいだろうと思ったからでした。

うるさい店長のいない日くらい同期で悪口言ってガス抜きしたっていいじゃないですか。上や周りに後先考えずに噛みついて自爆するタイプの私にとっても、二方向から直接意見をもらえる環境はありがたかったのですが(その意見を採り入れる度量のありなしはまた別問題でしたが……)、そうも言っていられなくなりました。

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What a lovely day!

あの頃の代官山は、渋谷にも劣らないほどに人の集まるエリアでした。お客さんも徐々に増えてきて結果にも表れるようになりました。やっぱり間違っていなかった。私はさらに走り始めました。

当時30歳くらいでしたが、生活の大半は仕事、店、お客さんのこと、洋服のこと。

ふと時計を見たら終電も終わっていて、床に段ボールを敷いて朝まで過ごしたこともありましたし、「訊きたいことあったらいつでも電話してこいよ」というボスの言葉を真に受けて電話したら「お前まだ店におるんか」と呆れられたこともありました。アクセルベタ踏みで、曲がり切れなければ壁にぶつけて方向転換。ダートトラックレースのような、まさに暴走でした。

そんな私にとってラッキーだったのは、本田くんが見た目よりも強気な性格の持ち主だったことです。彼はアパレルこそ初めての仕事でしたが、それ以前はホテルマンとして、より丁寧な接客をたたき込まれ実践してきていました。

「(どの接客業でも通底するような基本的な)その点については松下さんに言われたくありません」と面と向かって言われたこともありました。反面教師含めてロールモデルが何人もいるという環境ではない中、「松下さんと同じことやっても、キャリアも身長も及ばない自分が勝てるわけがない。あの人がやらないスタイルを見つけよう」(これも本人に言われました)と自らの頭で考えて実践して、本来の性格に加え、自分の顧客といえるお客さんが増えてきて結果も出してきた自信が、先輩だろうが店長だろうが負けてなるものかという一人前のアパレル人にしたのだと思います。

本田くんはもう後ろではなく横にいました。文字通り代官山店の両輪として、負けん気とプライドの混合ガスを自らのエンジンに吹き込み、時にブレーキを掛けあい、私たち二人はぶつかり合いながら前に進み、気付けば直営店のトップに躍り出ていました。

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